ビルを殺れ!

さあ皆、ここが地獄の一丁目さ!ワーオ!ここには君の求めているものは1つもない!きっとロクな死に方しないな!映画でも見て元気出せよきっといい死に方するぜ

ゾンビ

原題/Dawn of the Dead

公開/1978

 

今回紹介する作品はこれ!

 

 


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ゾンビの原点にして頂天、タイトルズバリ『ゾンビ』

 

ゾンビ映画の最高傑作は?」

と聞かれて

 

バイオハザード』と答えるのは純粋な人

 

『REC』と答えるのはニワカ

 

28日後...』と答えるのはあたかもこの作品を発掘したのは自分だと言いたげな痛いヤツ(実際『28日後...』はドメジャー)

 

ゾンビランド』と答えるのはミーハー

 

 

『ゾンビ』を見てこの作品を最高傑作と言わない人間はいない。いや、最高傑作と言わざるを得ない。だって超おもしろいから。

 

 

あらすじ

ゾンビの勢力は瞬く間に広がり、今や世界中がゾンビだらけ。そんな中、主人公たちは巨大ショッピングモールに立てこもるのであった...

 

 

さて、昨今のゾンビといえば身体中が腐って顔はぐちゃぐちゃ、目は血走った強烈なビジュアルな物が定着してきているが本作のゾンビはというと、

 

 


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こんな感じ。

どう見ても顔色の悪いチベットの坊さんである。

 

そう、この作品にはぐちゃぐちゃゾンビはほとんど登場しない。服をボロボロにして顔色をちょっと悪くすればもうゾンビの出来上がりなのだ。

 

金をかけずともいい映画は撮れる、ということを教えてくれる好例である。

 

 

 

本作は言うまでもなく大ヒットし、今でも世界中に熱狂的なファンが数多存在する作品だが私はこの作品がなぜおもしろいかが長年分からなかった。

 

確かにおもしろいのだ。しかしなぜおもしろいかが分からない。このジレンマを高橋ヨシキ氏が解消してくれたので以下氏の解説を紹介する。

 

 

「ゾンビはクラシックモンスターの中でも労働者階級のモンスターなんですよ。狼男は大富豪の息子だしジキル博士や透明人間は天才科学者。大アマゾンの半魚人は自然界の崇高な生き物だしドラキュラは貴族の息子で処女の生き血しか吸わないとか贅沢ばっか言ってるんですよ(笑)でもゾンビはちがう。誰でも平等に噛んでくれるし誰でもなれる。しかもクラシックモンスターは大概1人(1匹)しかいない固有のものですが、ゾンビはたくさんいる上に“普通の人”なんです。」

 

また、こうも語っている。

 

「この作品で言えることは“ゾンビと、生きてる人間はあまり変わらない”ということ。劇中でゾンビはなぜショッピングモールを目指すかという説明がありますが、生前の微かな記憶を頼りにゾンビは行動しているんです。生きてる頃のことがぼんやりと頭にあって、自分が行ったことのあるような場所を目指す。だからショッピングモールに行くんです。人間を襲うためとかそういう理由ではなく。それって生きてる人間も同じだと思うんですよ。だって人間だって用もなくショッピングモールにぶらぶらしに行くでしょう?しかも遠目から見たらゾンビと人間の区別がつかない。だからゾンビと生きてる人間はあまり変わらないんです。」

 

 

まさに目から鱗である。

ゾンビは大量にいるし普通の人。特別なものではない。だからこんなにおもしろいんだ。いつ自分がそうなってもおかしくない。その緊張感がゾンビを傑作たらしめているんだ。

 

 

高橋ヨシキ氏のおかげで長年の謎が解けたところで批評に戻ろう。

 

 

本作の魅力はもうひとつあると思う。

それは誰もが一度は想像したことがあるであろう、“大型ショッピングモールを貸し切りにできる”ことである。

いや、本作では貸し切りどころか“自分たちの物”にしている。

毛皮のコートもダイヤの指輪もライフルもテレビも全てが自分のものである。作中でもゾンビを掻い潜って店内に新入できた軍人2人は年甲斐もなくはしゃいでいる。

ここで、見ている人は誰もが身近なショッピングモールを思い浮かべて「自分だったらあの店でこうするなあ」と想像するのである。

そして今度そのショッピングモールに行くとき、

「もしゾンビが現れたらここに逃げ込もう。いやでも同じ考えも持つ人は大勢いるだろうし独り占めできないのは嫌だな・・・」

と考えるのは仕方のないことである。

 

 

自分たちのショッピングモールを楽しむ様子はリメイク版の、『ドーン・オブ・ザ・デッド』のほうがより丁寧に描かれている。こちらもいずれ紹介するが傑作なので是非見てもらいたい一作だ。

 

 

さて、人間にとって愛情とは実に大切なものだがゾンビには通用しない。愛情が深いほどその人がゾンビになったときに引き金を引く指を迷わせる。

ゾンビが現れたときはこの映画を思い出して愛情なんてクソ食らえと言わんばかりにゾンビをなぎ倒していってほしい。

たまに「愛する人に食われるなら本望だ」とかっこいいことを言う人がいるが、生き延びたい側にとってはゾンビが増えるだけの迷惑極まりない行為なので死ぬなら普通に死んでほしい。

 


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↑「演技はダメだがゾンビの演技は天下一品」と評価されたヘリ坊やことデビット・エンゲ

 

 


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↑特殊メイク界の超大御所、トム・サヴィーニ直々に鉈で切りつけられたゾンビ界屈指の名誉を受けたマチェーテゾンビ

 

グロ度  ★★★☆☆

絶望感  ★★★★☆

怖さ★★★☆☆

革命★★★★★

ゾンビ  ★★★★★

 

総合評価/90点