最”恐?!”絶叫計画
原題/STAN HELSING
公開/2009(未)
「2作目がこれかよ!」と突っ込まれそうなチョイスだがはっきり言おう!
俺は最終絶叫計画シリーズが大好きだ!
『最終絶叫計画』の監督、ボー・ゼンガ
レスリー・ニールセン、ケン・カーシンガー主演と微妙に豪華。
あとヒロインがなかなかかわいくていいなーと思っていたら
『テキサスチェーンソー ビギニング』のディオラ・ベアードだった。
↑インディアンコスチュームもgood
このシリーズを知らない人のために説明すると、
世に存在する有名作品をひたすらパロディし、下品なコメディをトッピングした夢のような作品である。
そして本作の楽しみ方といえば何も考えずにただ下ネタをみてゲラゲラ笑うか何の作品をパロディしているかを見つけるという、要は箸休め作品である。
本作に込められた社会的メッセージなどない。一切ない。
『エイリアン』が女性社会進出を示唆する内容だとか、『光る眼』がアメリカ共産主義の恐怖を描いたとかそんなものない。
暇な時間に肩の力を抜いて見れるのが本作の魅力である。(一応シリーズを通して黒人差別には言及するがそれは単なるネタ振りに過ぎない)
あらすじ
テキトー男、スタンとその仲間たちが深夜に迷い込んだ街は怪物たちが蔓延る恐怖の街だった!
まずジャケット写真だけでいくつの作品をパロディしているか探してみよう。
まず左は『エルム街の悪夢』のフレディ
その右が『悪魔のいけにえ』のレザーフェイス
その上の顔にいろいろ刺さってるのが『ヘルレイザー』のピンヘッド
上で飛んでるのがスーパーマン
月に浮かぶ影はE.T
いちばん右のホッケーマスクは『13日の金曜日』のジェイソン
その手前は『ハロウィン』のマイケル
主人公の股に挟まってるのが『チャイルドプレイ』のチャッキー
主人公スタン・ヘルシングは『ヴァン・ヘルシング』
なんとジャケットだけで9作品。もちろん本編ではさらにいろいろな作品をパロディしている。
こんな感じで映画を見ていくと「あ、これはあの作品のパロディだな」と映画好きにはたまらない、思わずにやにやしてしまうシーンがわんさかある。
↑『ヴァン・ヘルシング』の吸血三姉妹とか
↑ホラー映画界のスターが勢ぞろい
ここまで書いていると安っぽさしかない作品に見えるが一応往年のコメディ俳優レスリー・ニールセンが出ている。
主人公たちの演技に慣れ始めたころに急に現れるので彼のコメディ役としての演技がいかに優れているかがよくわかる。
本当に素晴らしい演技を見せてくれるのでそれだけでも一見の価値あり!
↑レスリー・ニールセン。2010年死没。ご冥福をお祈りします。
もう一つの見どころはジェイソンのパロディ役が実際にジェイソンを演じたケン・カーシンガーだということ。
こういう作品を超えたパロディはわくわくしてしまう。
元祖レザーフェイス役のガンナー・ハンセンが『モスキート』でチェーンソーを振り回しながら「これを持つのは20年ぶりだぜ!」と叫ぶシーンとかたまらないね!
↑『フレディVSジェイソン』のケン・カーシンガー
↑本作のケン・カーシンガー。ってどっちも顔見えないやないかい!
しかしジェイソン独特のたたずまいと首の傾げ方はさすが本物。
絶叫計画にしては勢いが少し物足りないのと、せっかくホラー界のスパースターが集まった(?)のにちょっとおとなしいのが残念だった(最終絶叫計画もコメディだが一応殺人鬼らしく、首ちょんぱとかやってくれていた)がなんせこんな映画だからつまらなくても問題ない。映画好きならシリーズ通して見てみよう!
この作品を見るときは家族とは見ないほうがいい。
さもなくば1週間は顔を合わせたくなくなるだろう。
気の置けない友達とワイワイ見るか映画好き同士でパロディ探し合戦でもするのが一番面白いと思う。
あと普通の人は一生見なくても支障はないです。
グロ度★★☆☆☆
怖さ☆☆☆☆☆
笑い★★☆☆☆
下品★★★☆☆
見なくていい★★★★☆
総合評価/40点
ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド
原題/Night of the Living Dead
公開/1968(未)
別に今さら私が紹介するまでもないのだがやはり記念すべき1つ目の映画はこれで決まりだろう。
モダンゾンビの父、ジョージ・A・ロメロのゾンビデビュー作、『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』である。
あらすじ
ジョニーとバーバラが父の墓参り中にゾンビに出会ってさあ大変。
↑だぁ
この作品の歴史的意義とはなんといっても“モダンゾンビ像を確立させた”ことである。
ゾンビとは知性がなく、ゆっくり歩いて人を食らい、噛まれた人もゾンビになる。
誰もが知るゾンビの特性はこの映画から始まったのだ。
そもそもゾンビとはブードゥー教の考えであり、ゾンビパウダーを使って人を仮死状態にして労働させるためのものであった。
今ではゾンビ映画といえば世界中であまねく製作されていて枚挙に暇がない。
これの意味するところはすなわち、ゾンビがクラシックモンスターの仲間入りをしたということだ。
クラシックモンスターとはいわゆる“説明する必要のないモンスター”のことである。例えば吸血鬼や狼男がそうだ。
先にも書いたゾンビの特性は誰もが知っている。その走りとなったのが本作だ。
さて、そんな映画史に残る作品の内容はどうかといえば、文句なしの傑作である。
どこからともなく現れ、人々を襲い、瞬く間に数を増やして人間に迫る様は現代社会のマジョリティー、フリーライダーに通ずるものがある。
地下で噛まれた子を匿う両親、その子どもに滅多刺しにされて食われる親。どうにも救いようがない。
私が印象に残っているのは地下に横たわる腐乱死体である。ストーリーの重要な鍵でもないし死んでいるのだから動きもしない。しかし一度見たら忘れられない強烈なインパクトを与えてくれる。60年代にこんな物が作れるのか!と心底驚いたものである。尤も、映画でこのようなグロテスクな映像に慣れていなかった当時の人々の驚きは計り知れないが。
↑全世界の良い子にトラウマを植え付けた問題児。よくやった。
↑「育ち盛りだからしょうがないよね~」
↑「こんな奴劇中にいたか?」とか言う奴から食われろ。
そして冒頭バーバラがゾンビに追いかけられて転ぶシーンがあるが、ホラー映画のお約束である「追いかけられると転ぶ」が出来たのもこの作品である。(そしてすぐには立ち上がらない。なぜなら逃げ切れてしまうからである。)
このシリーズが全世界にこよなく愛されている理由はタイトルが超coolなことも挙げられると思う。
Night of the Living Dead
死人の夜
↓
Dawn of the Dead
死人の夜明け
↓
Day of the Dead
死人の日
Day of the DeadのDayは“日”なのか“昼間”
なのかよく分からないが一貫して死人を物語の中心と考え、やがて世界は滅びるという暗示がタイトルから伝わってくるようである。日本では『死霊のえじき』
とかいうさっぱり意味のわからない邦題になったが。おそらく『死霊のはらわた(81)』の人気に乗っかったのだろう。
ちなみにThe Return of the Living Deadという映画も存在する。邦題は自分で調べてみよう。
なぜこんなタイトルがついたかはこの作品を紹介するときに預けることとしよう...
そんなこんなで世界中にゾンビの存在を知らしめ、今や伝説となった本作は一人でじっくりと見るか、ゾンビ好きの友達としっぽり見ることをおすすめする。
グロ★★☆☆☆
怖さ★☆☆☆☆
オチ★★★★☆
社会性★★★☆☆
総合評価/75点